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踏切の手

中学生の頃、僕が住んでいた町はどこか薄暗くて静かだった。小さな商店街と、古びた駅が中心にある町で、線路を挟んで住宅地と田んぼが広がっている。電車の本数も少なくて、踏切の音だけが生活のリズムを刻んでいた。 その踏切には、町で有名な奇妙な噂があ...
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鉄塔の向こう

小学生のころ、僕たちの遊び場は町外れにある古びた鉄橋だった。線路の脇に大人が捨てたお菓子の袋やタバコの吸い殻が散らばっていて、子どもにとっては「大人の世界」を垣間見れる特別な場所だった。 鉄橋の下には小川が流れていて、夏になると水遊びをする...
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廃棄チェック

食品工場でのアルバイトは、淡々とした作業が多い。 ラインに流れる商品をチェックし、不良品を弾く。それが主な仕事だった。私は大学の授業が終わった後、夜勤に入ることが多かった。深夜の工場は独特の静けさがあり、機械音だけが響いている。 ある晩、廃...
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背番号

数年前の夏、高校野球の地方大会を観戦したときのことだ。 友人の弟が地元のチームでピッチャーをしていて、応援がてら球場まで足を運んだ。観客席は試合開始前から賑やかで、家族連れや地元の人々がたくさん詰めかけていた。私は友人と二人でスタンドの一番...
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確認作業

会社を辞めてから、時間を持て余すようになった。家にいることが増え、気分転換に掃除をするのが日課になった。今日は古い書類や雑誌を片付けることにした。 押し入れの奥から出てきた段ボールには、学生時代のノートや卒業アルバムが詰まっていた。懐かしい...
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消える通学路

中学生の頃、私は毎日同じ道を通って学校に通っていた。家から学校までは20分ほどの距離で、田んぼや細い道を抜ける静かな通学路だった。そこにある一本の細い路地――普段は何の変哲もない道だったのに、ある日を境に、奇妙な出来事が起き始めた。 その日...
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白い自販機

あれは、夏の終わりのことだった。大学のサークル合宿で山奥のペンションに泊まった帰り道、バスがトラブルで動かなくなった。修理には時間がかかると言われ、近くの田舎道を散策することになった。 一本道を歩いていると、少し先に奇妙な自動販売機が見えた...
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廃線跡における心霊現象の観察記録

はじめに 本稿では、筆者が経験した不可解な現象について、観察内容を整理し、記録として残すものである。この現象は、廃線跡での深夜調査中に発生したものであり、その性質上、心理的影響や未知の要因が関与している可能性がある。以下に現場の状況および発...
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あれは、大学の冬休みのことだった。親の実家で数日過ごすことになり、古びた家の二階にある客間を使わせてもらった。部屋の隅には高さほどもある大きな姿見が置かれていた。装飾が施された木枠が古めかしく、どこか不気味な雰囲気を醸し出していた。 夜、布...
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黒い窓

あれは仕事帰りの深夜だった。季節は冬、吐く息が白くなるほど寒い夜。駅から家までの道を歩いていると、ふと人通りの少ない裏通りにあるアパートの窓が目に留まった。 その窓だけが真っ黒だった。カーテンでも閉めているのだろうかと思ったが、よく見ると違...