2024-12

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タラタラ坊主

あの頃、僕たちの町では「タラタラ坊主」という怪談が流行っていた。誰が最初に言い始めたのかはわからない。ただ、学校でも公園でも、子供たちは皆、その話を知っていた。 「夜に一人で歩いていると、タラタラ坊主がついてくるんだって」「姿は見えないけど...
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子供部屋の天井

僕がまだ小学生だった頃の話だ。子供の頃の僕は、少し神経質で、いつも何かに怯えているような子供だった。家の中でも、どこか息苦しさを感じていた。特に、夜が苦手だった。寝ようとすると決まって嫌なことが起こるからだ。 僕の部屋は古い家の二階にあった...
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図書館の子供

僕はよく図書館に通っていた。高校時代の話だ。友人と過ごす時間も楽しかったけれど、時々一人になりたくなる日もあった。古びた図書館の児童書コーナーが僕のお気に入りだった。そこには誰も来ないし、棚に並んだ昔の児童文学を読みながら静かに時間を潰すの...
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箱と妹

僕が高校生だった頃、ある友人に妹がいた。歳は僕らより少し下で、確か中学二年生。彼女はいつも静かで目立たない子だったが、兄である友人がよく口にしていた「無邪気な性格」からは少し遠い印象だった。 彼女の死は突然だった。学校帰りに倒れているのを近...
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白い夢と消えた数日間

あの頃、僕は毎晩のように同じ夢を見ていた。 夢の中で僕は、いつも「白い部屋」にいるんだ。四方が白く塗り潰され、床も天井もどこまでも白い。ただの空間。だけど、その真ん中には一本の扉が立っていた。古びた木の扉で、見覚えはない。 ——誰かが、向こ...
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雪の降る帰り道

あれは、確か冬のことだった。僕が中学三年生の頃で、受験が近づいていた。自分の人生を少しでも変えたくて、僕は放課後も学校に残って勉強することが多くなった。 冬の夕暮れは早く、校舎を出る頃にはすっかり夜になっていた。街灯がまばらに灯る中、君たち...
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裏路地の空き地

あの空き地は、僕たちにとって秘密基地のような場所だった。町の裏路地を抜けた先に、急に開ける空き地がある。草はぼうぼうに生えていて、所々に崩れかけたブロックや錆びたドラム缶が転がっていた。 夕方になると、大人たちはあまり近づかなくなる場所だっ...
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白いロープの記憶

あれは、僕が中学二年生の頃のことだ。あの頃の僕は、日々がまるで泥の中を這うようだった。家庭は、言葉を選ばずに言うなら「壊れていた」。 父は仕事を理由に家に寄りつかず、たまに帰ってきたかと思えば無言で酒をあおるだけだった。母は母で、細い体で家...
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夕暮れの公園

あれは、小学生の頃のことだ。蝉の声が耳にうるさくまとわりつく、真夏の夕方。公園はまだ子供たちの声で賑やかだったが、その時、僕はひとりでブランコに座っていた。友達とはしゃいで遊んだ後、少しひと息ついていたのだろう。 夕日が木々の間から射し込み...
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寄り添う女

あの出来事は、今でも忘れられません。何の前触れもなく、静かに忍び寄る恐怖というものを初めて味わった夜でした。 それは友人の部屋でのことでした。彼が引っ越したばかりのアパートに遊びに行ったときです。築年数は古いものの、家賃が手頃で広さも十分、...