2024-12

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公衆電話

あれは高校2年生の冬のことだった。部活の帰りが遅くなり、駅から家まで歩いて帰る途中だった。田舎の夜道は街灯も少なく、吐く息が白く浮かぶ静かな夜。周囲は人気がなく、少し不安になりながら歩いていた。 道沿いに、古びた公衆電話が一台だけポツンと立...
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曲がった自転車

高校生の頃、通学に使っていた自転車は、父が昔乗っていた古い型のものだった。見た目はボロボロで、ペダルを漕ぐたびにギシギシと音が鳴るけれど、それなりに愛着があった。 ある日の放課後、いつものように駐輪場へ向かうと、自転車のハンドルが曲がってい...
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あるアパートでのこと

私が大学を卒業して初めて借りたアパートは、昭和の香りが漂う古びた建物だった。周囲には同じような古い住宅や空き地が点在していて、夜になるととても静かだった。 入居したその日、隣の部屋に住む住人が挨拶に来た。30代くらいの男性で、落ち着いた物腰...
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あるノート

大学時代のこと。ある授業で私はノートをきっちり取っていて、講義に出られなかった友人たちに何度も貸していた。そんな中、特に仲が良かったKが、風邪で1週間ほど休んだ時に「ノートを貸してくれ」と頼んできた。 「いいよ」と気軽に応じてノートを渡した...
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赤い傘

私が小学生だった頃の話だ。当時、学校の通学路には一本だけ古いトンネルがあった。町のはずれにあって、昭和初期に造られたらしい。昼間でも暗くてじめじめしていて、地元の子どもたちの間では「幽霊が出る」と噂されていた。 ある雨の日、学校帰りにそのト...
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踏切の向こう

大学のサークルで夜遅くまで飲んでいた帰り道のことだ。電車はとっくに終わっていたから、自転車で帰るしかなかった。冬の寒さが身に染みる中、人気のない住宅街を通り抜けて帰路を急いだ。 途中、小さな踏切を通ることになった。その踏切は地元でも有名な「...