未分類 竹内くん 竹内くんが騒ぎ始めたのは、夏休みが明けた直後のことだった。彼はクラスではどちらかというと目立たないタイプで、特に仲のいい友人もいないようだったけど、あのときは明らかに様子が違っていた。教室の隅で机に突っ伏しながら、何かをぶつぶつと呟いていた... 2024.12.30 未分類
未分類 壁から出ていた首 それが起きたのは、友人の家に泊まりに行ったときだった。あの日、夜遅くまでゲームをして遊んで、結局、リビングで布団を敷いて寝ることになったんだ。友人の家は古いけど広くて、どこか薄暗い雰囲気があった。特に夜になると、壁紙の剥がれたところや、古び... 2024.12.30 未分類
未分類 林間学校 林間学校は山奥の宿泊施設で行われた。二泊三日のプログラムで、昼間はハイキングや川遊び、夜はキャンプファイヤーや肝試しといった定番のイベントが目白押しだった。みんな楽しそうだったけど、俺は少しだけ気が乗らなかった。どうしてかはわからないけど、... 2024.12.30 未分類
未分類 木のうろ その大木は学校の裏山にあった。樹齢何百年にもなるような太い幹で、上を見上げると枝が空を覆っていて、昼間でも薄暗いほどだった。幹の途中には大きなうろが空いていて、まるで口を開けているように見えた。子供の頃、あのうろの中には「何か」がいるって噂... 2024.12.30 未分類
未分類 木みたいな人 それは、夏休み直前の放課後だった。部活をサボって、校舎裏の倉庫の近くで一人で時間を潰してたんだ。その日は蒸し暑くて、蝉の鳴き声が耳に張り付くようだった。校舎裏は木々が鬱蒼としていて、普段から薄暗い場所だったけど、その日は特に重苦しい空気が漂... 2024.12.30 未分類
未分類 時代 あれは、平成の半ばだった。まだ携帯電話がガラケーで、街には公衆電話が当たり前のようにあった頃だ。世の中全体がどこかピリピリしていて、不景気だ、事件だ、と暗いニュースばかりが流れていた。そんな時代の空気を、今でも肌で覚えている。 あの日、俺は... 2024.12.30 未分類
未分類 その家の誰か 俺の家は、古い木造の平屋だった。建てられたのは戦前だとかで、風が吹くときしむ音がして、冬場は隙間風がひどかった。でも、祖父母が住んでいた頃からの家だから、俺にとっては当たり前の風景だったんだ。 最初に「変だな」と思ったのは、小学生のときだっ... 2024.12.30 未分類
未分類 引きずられている 夕方、部活が終わって、一人で帰る道すがらのことだった。ちょうど田んぼの中を抜ける細い道に差し掛かった頃だ。日が暮れかけていて、空が茜色に染まっていた。 いつもなら何も気にせず通り過ぎる道なんだけど、その日は妙に静かで、足元の砂利の音がやけに... 2024.12.30 未分類
未分類 気持ちの悪い首飾り あれが最初に話題になったのは、ある日、教室でAが見せびらかしていたときだった。透明な糸に吊るされた、黒ずんだ何かの欠片みたいな首飾りだったよな。「これ、願いが叶うらしいよ」なんて言いながら、得意げに見せてたけど、あのときは誰も深く考えなかっ... 2024.12.30 未分類
未分類 プールでのこと あの日は、少し肌寒い曇り空だった。空気に湿り気があって、プールの水面は鈍い銀色に光っていた。授業が始まる前、更衣室でお前が突然言ったんだ。 「なんか変な匂いしないか?」 俺も嗅いでみたけど、よくわからなかった。塩素の匂いに混じって、生臭いよ... 2024.12.30 未分類