2024-11

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とまった時計

高校を卒業したばかりの頃、私は祖母が残した古い家に一人で住むことになった。親が海外赴任で家を空けるためだったが、古びた日本家屋に一人で住むのは少し心細かった。 家の中には昭和時代そのままの家具や道具が残されていた。その中で特に目を引いたのが...
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ポケベルのメッセージ

大学生の頃、平成中期の話だ。当時は携帯電話がようやく普及し始めた頃で、私はまだポケットベルを使っていた。親からのお小遣いでは携帯なんて高嶺の花だったし、友達との連絡には十分だったからだ。 ある日、夜遅くまでバイトをしていて、終電にギリギリ間...
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とまらないインターフォン

あの日のことは今でもはっきり覚えている。夜勤を終えて帰宅したのは深夜2時過ぎだった。疲れていたけど、シャワーを浴びてから寝ようと思い、部屋に入るなりバッグを放り出した。 ワンルームの部屋は静まり返っていて、窓の外には月明かりだけがぼんやりと...
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見守っているよ

Bさんが住む町内では、自治会による「見守り活動」が活発だった。高齢者や子どもたちの安全を守るため、住民が交代で町内をパトロールし、異常がないかを確認する取り組みだ。 ある夜、Bさんは自治会の当番で見守り活動をすることになった。その日は特に何...
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カンカン。聞こえる

友人のAが、少し古めのマンションに引っ越した直後の話だ。引っ越し祝いを兼ねて、彼の部屋で飲むことになり、私は夕方頃に訪れた。そのマンションは、築30年は経っていそうな雰囲気で、エントランスには「夜間のゴミ出し禁止」「エレベーターの使用は10...