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すみません

あれは、まだ私が学生だった頃の話です。夜の帰り道、終電間際の電車を降りた私は、駅から家へと続く寂しい住宅街の道を歩いていました。人通りはほとんどなく、家々の窓もほとんど灯りが消えています。季節は冬、風が冷たくて、息が白く曇るのが見えました。...
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正月の井戸

あれは正月、昼間でもやけに薄暗い曇り空の日でした。親戚の家で退屈しのぎに庭をぶらぶらしていたときのことです。その庭の端には、古い井戸があったんです。誰かに埋められたのか、板で蓋がされていて、もう何十年も使われていないようでした。 親戚の誰一...
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竹内くん

竹内くんが騒ぎ始めたのは、夏休みが明けた直後のことだった。彼はクラスではどちらかというと目立たないタイプで、特に仲のいい友人もいないようだったけど、あのときは明らかに様子が違っていた。教室の隅で机に突っ伏しながら、何かをぶつぶつと呟いていた...
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壁から出ていた首

それが起きたのは、友人の家に泊まりに行ったときだった。あの日、夜遅くまでゲームをして遊んで、結局、リビングで布団を敷いて寝ることになったんだ。友人の家は古いけど広くて、どこか薄暗い雰囲気があった。特に夜になると、壁紙の剥がれたところや、古び...
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林間学校

林間学校は山奥の宿泊施設で行われた。二泊三日のプログラムで、昼間はハイキングや川遊び、夜はキャンプファイヤーや肝試しといった定番のイベントが目白押しだった。みんな楽しそうだったけど、俺は少しだけ気が乗らなかった。どうしてかはわからないけど、...
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木のうろ

その大木は学校の裏山にあった。樹齢何百年にもなるような太い幹で、上を見上げると枝が空を覆っていて、昼間でも薄暗いほどだった。幹の途中には大きなうろが空いていて、まるで口を開けているように見えた。子供の頃、あのうろの中には「何か」がいるって噂...
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木みたいな人

それは、夏休み直前の放課後だった。部活をサボって、校舎裏の倉庫の近くで一人で時間を潰してたんだ。その日は蒸し暑くて、蝉の鳴き声が耳に張り付くようだった。校舎裏は木々が鬱蒼としていて、普段から薄暗い場所だったけど、その日は特に重苦しい空気が漂...
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時代

あれは、平成の半ばだった。まだ携帯電話がガラケーで、街には公衆電話が当たり前のようにあった頃だ。世の中全体がどこかピリピリしていて、不景気だ、事件だ、と暗いニュースばかりが流れていた。そんな時代の空気を、今でも肌で覚えている。 あの日、俺は...
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その家の誰か

俺の家は、古い木造の平屋だった。建てられたのは戦前だとかで、風が吹くときしむ音がして、冬場は隙間風がひどかった。でも、祖父母が住んでいた頃からの家だから、俺にとっては当たり前の風景だったんだ。 最初に「変だな」と思ったのは、小学生のときだっ...
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引きずられている

夕方、部活が終わって、一人で帰る道すがらのことだった。ちょうど田んぼの中を抜ける細い道に差し掛かった頃だ。日が暮れかけていて、空が茜色に染まっていた。 いつもなら何も気にせず通り過ぎる道なんだけど、その日は妙に静かで、足元の砂利の音がやけに...