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湿気と影

夏休みが始まって間もない夜だった。日中はそこそこ晴れていたのに、夜になると湿気が増し、空気がねっとりと体にまとわりついてきた。窓を少し開けると、ぬるい風がビュウビュウと吹き込んできて、カーテンが膨らみ、はためいた。その様子を見て、私は「なん...
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揺れるブランコ

それは、ある静かな夕暮れのことでした。みんなで少し遠くの山間の町を訪れて、ふと目に留まった小さな公園に立ち寄ったときのことです。公園といっても、遊具はさびついた滑り台と、古びたブランコがひとつあるだけの、小さな広場でした。 公園には誰もおら...
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雪の足跡

それは、みんなで雪国の温泉旅館に泊まりに行ったときのことでした。到着した日は一面の銀世界で、誰もがその美しさに感動していました。雪合戦をしたり、温泉に浸かったりと、和やかな時間を過ごしていたんです。 二日目の夜、みんなで旅館の近くを散歩しよ...
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帰省の夜

地元は久しぶりだったし、せっかくの静かな夜だったので、「ちょっと歩いてみよう」と友人と二人で家を出たんですよね。町は懐かしい雰囲気そのままで、道端に咲いている花や、聞き慣れた虫の音が妙に心地よかった。 あの夜、私たちは近くの小さな川沿いの道...
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草津の夜道

草津でのことです。三日目の夜、宿に戻ってからもなぜか寝付けなくて、外の空気を吸いたくなったんです。ちょうど宿の近くには細い坂道や、湯畑から延びる静かな路地が広がっていて、夜の草津は幻想的な雰囲気に包まれていました。 特に目的があったわけじゃ...
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体育館の鍵

あれは小学5年生のときでした。夏休み前の7月の終わり、学校では文化祭の準備が始まっていました。僕たちのクラスは劇を発表することになり、体育館でのリハーサルが放課後に行われていました。 リハーサルは順調に進んでいましたが、道具の片付けや舞台の...
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静岡のパーキングエリア

それは、大学生の頃、友人たちと車で旅行に出かけたときのことです。行き先は関西方面。東京から車で向かうため、深夜に出発して東名高速を走っていました。 運転をしていたのは友人のひとりで、他のメンバーは交代で仮眠を取っていました。僕は助手席に座っ...
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夜のトイレ

小学校2年生の頃、家族で祖父母の家に泊まりに行ったときのことです。祖父母の家は、古い日本家屋で、廊下が長く、夜になると薄暗くて少し怖い雰囲気がありました。その日は親戚も集まって、夕方まで賑やかに過ごしましたが、夜になると急に静まり返ります。...
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坂道

俺がまだ実家に住んでいたころの話だ。あれは夏の終わり、蒸し暑さが残る夜のことだった。実家は地方の小さな町にあって、家の裏には小さな山があった。山へ続く坂道は舗装されていたけど、昼間でも人通りは少なく、夜になるとまるで別世界のように暗かった。...
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柿の木の陰

その日、私は祖父の家を訪ねていた。山あいの小さな集落にあるその家には、祖父が丹精込めて育てた庭があり、そこには一本の古い柿の木が立っていた。もう幹はごつごつとしていて、木肌は苔むしている。それでも毎年秋になるとたわわに実をつけ、地元の子ども...