超恐話

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伊勢にて

伊勢の外れにある古い町を歩いていたのは、旅の帰り道のことだった。 観光地から少し離れたその町には、昔ながらの家々が並んでいたが、どこか静かすぎる。時折吹く風が、軒先に吊るされた風鈴を鳴らす以外、音がしない。まるで、町全体が眠っているようだっ...
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山窪

どこにでもあるような、寂れた山道だった。ただひとつ、妙に気になる場所がある。村人たちはそこを 「山窪」 と呼んで、近づこうとしない。 地図にも載っていない小さなくぼ地で、雨が降るたびに土が崩れ、年々深く沈んでいく。誰も口にしないが、山窪は昔...
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送りさん

仕事の帰り道、久しぶりに田舎に帰る途中だった。電車を乗り継ぎ、最寄りの駅に降り立つと、空気がひんやりしていた。夜の田んぼ道を歩きながら、ふと昔のことを思い出した。 俺がまだ子どもの頃、この村には**「送りさん」**の風習があった。 人が亡く...
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落ちる落ちる落ちる落ちる

あの日、俺たちは山道を歩いていた。標識には「通行禁止」と書かれていたけど、友人の田口は気にしなかった。「だいじょぶだいじょぶ、昔から近道だって言われてんだよ」そう言いながら、彼は俺の前を軽快に歩いていった。 道はだんだん険しくなり、崩れた石...
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気持ちいいよ

夏休みのある日のことでした。父は仕事が忙しい人でしたが、その日は珍しく早く帰ってきて、「虫取りに行こう」と言ってくれたんです。 私が楽しみにしていたクワガタを捕まえるために、山の裏手にある雑木林へ向かいました。あの時の夕焼けの色――今でも、...
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うじうじ君

「うじうじ君」ってのは、私たちが子供の頃、誰も近づきたがらない同級生につけたあだ名なんです。本名は誰も覚えていません。ただ、あまりにも気味が悪い奴だったんですよ。 見た目は普通でした。でも、いつも何かを掻きむしっていたんです。首元だったり、...
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冬至のことでした

あれは、今から数年前のこと。冬至の日に、友人たちと山奥の秘湯へ行ったんです。地元の人ですら滅多に訪れない、知る人ぞ知る温泉でした。「柚子湯に入って、年の厄を落とそう」と、酒を持ち込んで騒いでいたんですが、夜も更けると一人、湯に浸かりながらぼ...
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もう、引き剥がすな

私がまだ小さかった頃、近所の古い神社の境内に、大きな御神木がありました。どっしりと根を張った、年季の入った欅の木で、村の人たちは「触れるな」と言い聞かせていました。理由は教えてくれませんでしたが、言い伝えではこう言われていたんです。 「あの...
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懺悔しろよ

もう、何年前になるんでしょうかね。あの日、私たちは放課後の教室に残って、くだらない話をしていた。よくある悪ふざけです。教室に一人残って掃除をしていた彼を、笑いながらからかった。机を蹴ったり、ノートを隠したりして――**「懺悔しろよ」**って...
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お前の代わりに

小学校の放課後、友人たちと河原で遊んでいたんです。少し大きめのゴムボールを蹴っていたら、誰かの蹴り損ねたボールが川の中へ転がってしまった。水はそこまで深くなかったし、流れも穏やかだったので、私は迷わずボールを追いかけました。 靴を脱ぎ、ズボ...