toudori

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俺の顔

あれは仕事帰り、いつもとは違う道を通った日のことだ。住宅街の奥まった路地で、ぽつんと古い民家があった。街灯の明かりが届かず、家の周りは真っ暗だったが、窓だけが薄く灯っていた。 何気なくその家を見たんだ。すると――窓から誰かがこっちを覗いてい...
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落ちる落ちる落ちる落ちる

あの日、俺たちは山道を歩いていた。標識には「通行禁止」と書かれていたけど、友人の田口は気にしなかった。「だいじょぶだいじょぶ、昔から近道だって言われてんだよ」そう言いながら、彼は俺の前を軽快に歩いていった。 道はだんだん険しくなり、崩れた石...
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お前のパートだろ?

かつては人々に愛されていた廃校の話です。 ただ、廃校になった理由が少し不気味でして。噂によると、最後の卒業式の日にある事件が起きてしまったらしいんです。詳細は隠されていて、町の人たちはその話題に触れたがらなかった。 でも、何年か前――夏の夜...
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気持ちいいよ

夏休みのある日のことでした。父は仕事が忙しい人でしたが、その日は珍しく早く帰ってきて、「虫取りに行こう」と言ってくれたんです。 私が楽しみにしていたクワガタを捕まえるために、山の裏手にある雑木林へ向かいました。あの時の夕焼けの色――今でも、...
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ミミズの大群

大学の友人たちととある古い旅館に泊まりに行ったんです。山奥のひなびた場所にあって、建物自体は趣があったんですが、どうも雰囲気が暗くてね。「ここ、本当に営業してるのか?」なんて冗談を言いながら玄関をくぐりました。受付には、誰もいませんでした。...
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不審者メール

大学生時代、突然、知らないアドレスからメールが届くようになったんです。 最初は「間違いかな」と思いました。でも、内容が奇妙だったんですよ。「君は元気か」「次はいつ会える?」「忘れていないよね」 差出人は表示されないし、誰が送っているのかわか...
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泣くベッド

二十歳を過ぎた頃、祖父が入院していた病院での出来事です。 夜遅く見舞いに行った帰り、病院の廊下を歩いていると、消灯時間を過ぎているのに泣き声が聞こえたんです。最初は子供の泣き声かと思いました。でも、この病院には小児病棟なんてないはずなんです...
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蔦地蔵

小学生の頃のことです。家の近くに蔦に覆われた地蔵があって、誰も近寄ろうとしない場所でした。大人たちは「地蔵さんは昔からそこにいる」と言うけれど、誰も手入れをしないから、まるで森に呑まれたように見えていました。 ある日、友達数人と肝試しをする...
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うじうじ君

「うじうじ君」ってのは、私たちが子供の頃、誰も近づきたがらない同級生につけたあだ名なんです。本名は誰も覚えていません。ただ、あまりにも気味が悪い奴だったんですよ。 見た目は普通でした。でも、いつも何かを掻きむしっていたんです。首元だったり、...
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冬至のことでした

あれは、今から数年前のこと。冬至の日に、友人たちと山奥の秘湯へ行ったんです。地元の人ですら滅多に訪れない、知る人ぞ知る温泉でした。「柚子湯に入って、年の厄を落とそう」と、酒を持ち込んで騒いでいたんですが、夜も更けると一人、湯に浸かりながらぼ...