未分類 氷スプーン 大学の夏休み、私は田舎に住む祖父の家に遊びに行った。山間の静かな村で、毎日がんがんに暑かったが、縁側でスイカを食べたり、川で泳いだりと、久しぶりにゆっくりとした時間を過ごしていた。 そんなある日、村で少し変わった噂を耳にした。 「夜中に冷凍... 2024.12.01 未分類
未分類 手押し車の中 大学に通っていた頃、アルバイトが終わるといつも遅い時間に帰宅していた。最寄り駅から家までの帰り道は、表通りを通れば少し遠回りになるが明るく、裏道を使えば早く帰れるが街灯もまばらで暗かった。 その日も疲れていたこともあって、裏道を通ることにし... 2024.12.01 未分類
未分類 公衆電話 あれは高校2年生の冬のことだった。部活の帰りが遅くなり、駅から家まで歩いて帰る途中だった。田舎の夜道は街灯も少なく、吐く息が白く浮かぶ静かな夜。周囲は人気がなく、少し不安になりながら歩いていた。 道沿いに、古びた公衆電話が一台だけポツンと立... 2024.12.01 未分類
未分類 曲がった自転車 高校生の頃、通学に使っていた自転車は、父が昔乗っていた古い型のものだった。見た目はボロボロで、ペダルを漕ぐたびにギシギシと音が鳴るけれど、それなりに愛着があった。 ある日の放課後、いつものように駐輪場へ向かうと、自転車のハンドルが曲がってい... 2024.12.01 未分類
未分類 あるアパートでのこと 私が大学を卒業して初めて借りたアパートは、昭和の香りが漂う古びた建物だった。周囲には同じような古い住宅や空き地が点在していて、夜になるととても静かだった。 入居したその日、隣の部屋に住む住人が挨拶に来た。30代くらいの男性で、落ち着いた物腰... 2024.12.01 未分類
未分類 あるノート 大学時代のこと。ある授業で私はノートをきっちり取っていて、講義に出られなかった友人たちに何度も貸していた。そんな中、特に仲が良かったKが、風邪で1週間ほど休んだ時に「ノートを貸してくれ」と頼んできた。 「いいよ」と気軽に応じてノートを渡した... 2024.12.01 未分類
未分類 赤い傘 私が小学生だった頃の話だ。当時、学校の通学路には一本だけ古いトンネルがあった。町のはずれにあって、昭和初期に造られたらしい。昼間でも暗くてじめじめしていて、地元の子どもたちの間では「幽霊が出る」と噂されていた。 ある雨の日、学校帰りにそのト... 2024.12.01 未分類
未分類 踏切の向こう 大学のサークルで夜遅くまで飲んでいた帰り道のことだ。電車はとっくに終わっていたから、自転車で帰るしかなかった。冬の寒さが身に染みる中、人気のない住宅街を通り抜けて帰路を急いだ。 途中、小さな踏切を通ることになった。その踏切は地元でも有名な「... 2024.12.01 未分類
未分類 とまった時計 高校を卒業したばかりの頃、私は祖母が残した古い家に一人で住むことになった。親が海外赴任で家を空けるためだったが、古びた日本家屋に一人で住むのは少し心細かった。 家の中には昭和時代そのままの家具や道具が残されていた。その中で特に目を引いたのが... 2024.11.29 未分類
未分類 ポケベルのメッセージ 大学生の頃、平成中期の話だ。当時は携帯電話がようやく普及し始めた頃で、私はまだポケットベルを使っていた。親からのお小遣いでは携帯なんて高嶺の花だったし、友達との連絡には十分だったからだ。 ある日、夜遅くまでバイトをしていて、終電にギリギリ間... 2024.11.29 未分類