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硝子を割る遊び

商店街は、妙に活気がなく、どこか暗い雰囲気が漂っていました。暑さで人通りも減り、シャッターを下ろした店が増えていたせいかもしれません。でも、それ以上に街を陰気にしていたのは、あの「遊び」のせいでした。 最初にそれが流行りだしたのは、私たちの...
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バス停の裏で

あの夏、私たちは毎日のように遊び回っていました。近所の川や山、そして夕方になれば駅前の小さなバス停に集まっては、ただ話をするだけの日もありましたよね。あのバス停、覚えていますか?ぼろぼろの屋根と、手書きの時刻表が貼られた看板。それに裏手には...
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A

共通の友人――仮に彼を「A」と呼びましょうか。その兄、つまり「Aの兄」は、元々明るく快活な性格で、スポーツも得意でした。地元の子供たちの面倒をよく見ていて、地域でも評判のいい青年だったのを覚えています。それが、ある夏の日を境に、突然部屋にこ...
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川から流れてきた人

あれは夏休みの中盤、まだ空が青く澄み切っていた午後のことだった。友人と私は、暑さを避けていつもの川辺に行った。川は浅くて流れも穏やかで、涼しい風が吹き抜けていた。私たちは足を水につけたり、小石を投げて遊んでいた。 そんな時だった。遠くから、...
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空き缶

それは、夏の終わり頃のことだった。まだ日中は暑さが残るものの、夕暮れになると少し涼しくなり、秋の気配が漂い始めていた。友人と二人で散歩をしていた時、ふと足元に転がる空き缶を見つけた。古びていて、色あせたラベルには見たことのないロゴが描かれて...
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他人の秘密基地

その空き地を見つけたのは、夕方近くのことだった。友人と二人で川遊びの帰り道、木々に囲まれた小道を歩いていると、茂みの間からぽっかりと開けた場所が見えた。そこには、明らかに人の手が入った跡があった。組み合わせた木材で作られた簡素な小屋、地面に...
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休日の学校

その日は休日でしたが、私は友人と一緒に呼び出され、理由も曖昧なまま学校へ向かいました。着いた時、校舎はひっそりしていて、蝉の声だけがやけに大きく響いていました。正門を抜けると、玄関に立つ用務員さんが私たちをじっと見つめていました。その視線が...
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帰り道の男

テニスを終えた帰り道、茜色の夕暮れが街を包んでいた。額に浮かぶ汗を拭いながら、友人と他愛のない話をしつつ、穏やかな気持ちで歩いていた。その空気が、あの角を曲がった瞬間、一気に変わるとは思いもしなかった。 道端にしゃがみ込んでいる男が目に入っ...
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廃神社の人形

村田が廃神社に行くと言い出したのは、暑さのせいでみんながだらけていた午後のことだった。「近所にあるあの古い神社、行ったことないだろ?」村田がそう言い出した時、私たちは少しざわついた。 その神社は、昔から「近づくな」と言われていた場所だった。...
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透の最後の夏

あれは、夏の盛りだった。むせかえるような湿気と、耳を覆うほどの蝉の声に包まれた日々。透が亡くなったという知らせを受けたのも、そんな暑い午後のことだった。 電話の向こうで、透の母親の震える声を聞きながら、私は現実感を失ったような気分になってい...