あの日はいつものように授業を受けていました。確か、国語の時間で、教科書の朗読を順番にしている最中でした。特に眠かったわけでもなく、気分が悪かったわけでもありません。ただ、何の前触れもなく、突然頭の中に「おわり」という言葉が響いてきたんです。
それは、自分の内側から湧き上がる思考とは違う、何か外部から押し込まれるような感覚でした。「おわり、おわり」と繰り返される声は、どんどん大きくなり、教室の音や周囲の声がすべてかき消されるような感覚に包まれました。
気づけば、私は立ち上がり、口をついて出るように「おわり!おわり!」と叫んでいました。自分が言っているのに、自分の声ではないような不思議な感覚でした。教室中の視線が一斉に私に向けられ、担任の先生が慌てて「どうした!」と声をかけてくれたことで、ようやく我に返りました。
その後、先生に促されて廊下に出て、少し落ち着く時間をもらいました。心配して駆け寄ってきた友人に「どうしたんだ?」と聞かれましたが、正直なところ、自分でも説明のしようがなく、「なんか変な感じがしただけ」と誤魔化すしかありませんでした。
あれ以来、似たようなことは起きていませんが、あのとき感じた「終わり」を告げるような強烈な感覚は、今でも忘れられません。単なる思春期の一時的な精神的混乱だったのか、それとも何か別の力が作用していたのかは分かりません。
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