消えた階段

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それは、友人と夜中に近くの公園を歩いていた時のことでした。その公園には、古い石の階段があり、私たちはよくその先にある展望台に行って星を眺めていました。

その日も同じように階段を上ろうとしましたが、妙なことに気づきました。いつもならすぐに見える階段が、なぜか真っ暗な茂みの中に溶け込んで、どこにも見当たらないのです。

「おかしいな」と思いながらも懐中電灯で照らしてみると、足元に階段の一段目が現れました。安心して上り始めると、友人が「待て」と私の腕を掴みました。驚いて振り返ると、友人が青ざめた顔で指を指しました。

そこには、階段の先が途中で途切れていて、真っ黒な空間がぽっかりと口を開けていました。私たちは急いでその場を離れ、振り返ることなく帰りました。

翌日、怖いもの見たさで昼間にその階段を見に行くと、いつものようにしっかりと展望台まで続いていました。ただ、その時に感じた冷たい風は、今でも忘れられません。

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