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そのテーマパークは、子供の頃から憧れていた場所だった。鮮やかなネオンが輝き、音楽が鳴り響き、まるで夢のような世界が広がっている。友達と一緒にそのテーマパークを訪れたのは、大学生になって初めての夏休みだった。大人になってからもその魅力は変わらず、むしろさらに魅力的に感じられた。

その日は、夜まで思いっきり遊ぶことを計画していた。昼間のアトラクションはもちろん楽しかったけど、夜のライトアップが始まると、まるで別の世界に足を踏み入れたような気分になった。

ところが、あるアトラクションが私たちの目を引いた。それは、古びたお化け屋敷だった。他の新しいアトラクションに比べて、少し場違いな雰囲気を醸し出していた。「ちょっと怖そうだけど、面白そうじゃない?」と友達の一人が提案した。

私たちはその提案に乗って、お化け屋敷に入ることにした。入口の重々しい木の扉を開けると、中は薄暗く、冷たい空気が漂っていた。案内も何もなく、ただまっすぐに進むしかない細い廊下が続いていた。

最初は、ありきたりなお化け屋敷だと思っていた。でも、進むにつれて、違和感がどんどん大きくなっていった。音がしない。テーマパークの他のアトラクションのような賑やかな音楽や悲鳴、笑い声が一切聞こえなくなっていた。まるで、別の場所に引き込まれたかのようだった。

「なんか、変だよね…」誰かがつぶやいた。その瞬間、私たちは全員足を止めた。周囲を見回すと、壁には古い絵画が飾られていて、その目がまるでこちらをじっと見つめているように感じられた。

「ここ、出ようよ」誰かが言った。でも、振り返った時、廊下が続いていないことに気づいた。確かにまっすぐ歩いてきたはずなのに、後ろには真っ暗な壁しかなかった。

「どうなってんだよ…」パニックが広がる中、どこからかかすかな声が聞こえてきた。「助けて…助けて…」声はどんどん近づいてくる。

私たちは必死で出口を探したが、どの方向も同じように暗く、どこに進んでも出口にたどり着けなかった。まるで迷路の中をさまよっているかのようだった。

その時、一人の友達が突然消えた。「あいつ、どこ行ったんだ?」必死に探そうとするけど、どこにも姿が見えない。次々に、他の友達も消えていった。まるで誰かに連れ去られるかのように、次第に一人ずつ消えていく。

最後に残ったのは私だけだった。声はもうすぐそばまで来ていた。「助けて…ここから出して…」それが、私の背後から聞こえてきた。振り返ると、そこには誰もいなかった。

気がついたら、私はお化け屋敷の外に立っていた。友達の姿はどこにもなく、テーマパークの賑やかな音が再び耳に戻ってきた。あれは一体何だったのか、今でも分からない。ただ、あのお化け屋敷には二度と入りたくないし、消えた友達がどこに行ってしまったのか、知りたくもない。

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