夏の暑い日で、クーラーをガンガンにかけて家でゴロゴロしてたんだよね。気温は30度を超えてて、外に出る気なんて全くなかった。そんな時、急に実家の母親から電話がかかってきて、「ちょっと家に帰ってきて、手伝ってほしいことがある」って言うんだ。
しょうがないから、実家に行ったんだけど、家に着いた瞬間、まず妙なことに気づいたんだ。玄関を開けた途端、家の中が妙に冷えてる。まあ、クーラーがついてるのかなと思って特に気にせず、中に入ったんだ。
でも、リビングに入った瞬間、俺は立ち止まった。
そこに「コタツ」があったんだよ。真夏なのに、しかもクーラーが効いてる中、実家のリビングにはどーんとコタツが出されてたんだ。冬なら分かるけど、夏だぞ?あまりに場違いな光景で、頭が混乱した。
「なんでコタツ出してるの?」って母親に聞いたら、母は特に違和感を感じてない様子で「そうね、最近ちょっと寒くてさ」とか言うんだ。
「寒い?外、猛暑日だよ?」って思わず突っ込んだんだけど、母は笑いながら「まあまあ、座りなさいよ」ってコタツに招かれたんだよね。
俺も訳が分からないまま、とりあえずコタツに足を入れたんだ。そしたら、なぜか妙にホッとした感じがして、暑い外の世界なんかすっかり忘れて、クーラーとコタツの組み合わせが心地よくなってきた。だけど、ここでまた不思議なことが起きたんだ。
足を入れた瞬間、コタツの中がやけに「暖かい」ことに気づいたんだ。コタツがついてるわけじゃないのに、ほんのり暖かい。しかも、その暖かさが徐々に強くなっていって、いつの間にかじんわり汗が出てくるくらいになってきた。
「おかしいな」と思って、コタツの中を覗いてみたんだけど、普通に布団がかかってるだけ。でも、何かがおかしい。足を引っ込めようとした瞬間、コタツの中から何かが「ぐいっ」と俺の足を掴んだような感覚があったんだ。
一瞬だったけど、確かに何かが触れた。びっくりして足を引き抜いたけど、当然コタツの中には何もない。ただ、あの瞬間の「何かがいた」という感覚がリアルすぎて、全身に鳥肌が立った。
母に「今、何か触ったよね?」って聞いたんだけど、彼女は笑いながら「何言ってるの、夏なんだからそんなことあるわけないでしょ」と言うだけだった。
結局、母はそれ以上は何も言わず、俺も気味が悪くなって早々に実家を出たんだ。それ以来、夏の暑い日でも「コタツ」にはちょっとした不安を感じるようになった。だって、あの時確かに、夏なのにコタツの中には何かがいたんだよ。
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