ドロドロになった友達

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これ、俺が大学時代に体験したちょっとおかしな話なんだけど、今でも忘れられないんだ。

ある日、久しぶりに地元の友達と集まることになって、みんなで飲みに行くことにしたんだ。俺たちはいつもの居酒屋に集まって、楽しく酒を飲んで、懐かしい話に花を咲かせてた。普通ならそこで終わるはずなんだけど、その夜は何かが違ってた。

一人、Kっていう友達が来てなかったんだ。俺たちは何度か連絡してみたんだけど、返事がなくて、「まあ、彼は忙しいのかもな」ってそのまま飲み続けてたんだ。

ところが、飲み会も終盤に差し掛かった頃、急にKから電話がかかってきたんだよ。「遅れてごめん、今向かってる」って。俺たちは「おい、遅いぞ!」って笑いながら待ってたんだけど、Kが来た瞬間、みんなの笑い声がピタッと止まったんだ。

Kは確かにそこにいたんだけど、なんか様子がおかしい。体中がまるで濡れてるように、服も髪もドロドロだったんだよ。しかも、その「ドロドロ」はただの水じゃなくて、黒っぽい泥のようなものがまとわりついている感じ。Kは平然とした顔で席についたんだけど、俺たちはただ呆然としてた。

「お前、どうしたんだよ?」って誰かが尋ねたんだけど、Kは「ちょっとさ、道に迷っちゃってさ」と笑いながら答えた。でも、普通に迷ったくらいであんなにドロドロになるはずがない。しかも、匂いもなんか腐ったような、湿地の臭いが漂ってきたんだ。

俺たちは冗談半分で「沼にでもハマったのか?」って言って笑いかけたけど、Kはただ黙ってこちらを見つめてたんだ。しかも、その視線がどこか空っぽというか、まるで彼の中身がそこにいないみたいな感じで。

もうその場の空気が完全におかしくなって、誰も何も言えなくなってた。しばらくして、Kが「俺、ちょっとトイレ行ってくる」と言って席を立ったんだけど、それが最後だった。

Kがトイレに立ってから、戻ってこなかったんだよ。俺たちも最初はトイレで用を足してるんだと思ってたんだけど、10分、20分経っても帰ってこない。気になってトイレを見に行ったんだけど、そこには誰もいなかった。

店を出て探し回ってもKは見つからず、その夜は結局彼がどこに行ったのか分からずじまいだった。

後で聞いた話なんだけど、Kはその日、ずっと俺たちに会う前に行方不明になってたらしいんだ。誰も彼がどこに行ったか知らないし、俺たちが居酒屋で見たKが本当に彼だったのか、今でも分からない。ただ、あのドロドロになったKの姿が、今でも俺の記憶に焼き付いてるんだ。

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