全裸のおっさん

これ、今でも笑い話みたいになってるけど、当時はマジで怖かったんだよ。大学時代の夏、友達と一緒に海の近くのキャンプ場に泊まりに行ったことがあったんだ。昼間は普通にバーベキューしたり、海で泳いだりして楽しかったんだけど、問題は夜のことだ。

そのキャンプ場、夜になると周りは真っ暗で、外灯もほとんどないんだよね。だから、みんなで焚き火を囲んで語り合うしかやることがなかった。で、夜も遅くなって、そろそろ寝ようかって話してた時、急に友達の一人が「何か聞こえない？」って言い出したんだ。

耳を澄ますと、確かに遠くから「ドタドタ」っていう足音みたいな音が聞こえてくるんだよ。最初は誰かが夜の散歩でもしてるのかなと思ってたけど、その音がどんどん近づいてくるにつれて、何か違和感があった。

だんだんとその足音がはっきりしてきて、なんと全裸のおっさんがこっちに向かって全力で走ってきてるのが見えたんだ！びっくりして「なんだこれ？」って全員で顔を見合わせたんだけど、次の瞬間、そのおっさん、俺たちの前を全速力で駆け抜けていったんだ。

焚き火の明かりに照らされて一瞬だったけど、あれは確実に全裸。しかも、真っ暗なキャンプ場の中を、ただひたすら無言で走り去っていったんだよ。

全員、言葉を失って硬直してたんだけど、数秒後に誰かが「今の、何だったんだ？」ってポツリと言った瞬間、もうみんなパニック。おっさんがどこに行ったのかも分からないし、何の目的で走ってたのかも全く不明。怖くなって、すぐにテントに閉じこもったんだ。

翌朝、管理人さんに「夜中に全裸のおっさんが走ってたんですけど…」って言ったんだけど、「え？そんな話聞いたことないですよ」ってすごく不思議そうな顔されたんだ。

あのおっさん、何者だったのか未だに分からないんだけど、あれ以来、夜のキャンプはちょっと苦手になったよ。