住んでいた

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あれは、まだ僕たちが好奇心旺盛で、ちょっと危険な冒険に惹かれていた頃のことです。その日、僕たちは地元で「空き家」として有名だった古い民家に行きました。町外れにあるその家は、庭には雑草が生い茂り、窓ガラスは割れていて、明らかに人が住んでいないように見えました。

中に入ると、予想通り荒れ果てていて、古い家具や新聞が散らばっていました。ただ、何かが違うと感じたのは、部屋の片隅に比較的新しい食べ物の包装や汚れた毛布があったことです。その時、僕たちは「ああ、誰か住んでるのかもしれない」と少し怖くなりました。

それでも「少しだけ見て帰ろう」と奥の部屋に進んだ時、突然背後から何かが飛びかかってきました。驚いて振り返ると、そこには中年の男性が立っていました。彼は髪も服もぼさぼさで、明らかにこの家に潜んでいたホームレスの人でした。

彼は怒鳴りながら棒のようなものを振り回し、僕たちを追い出そうとしてきました。その棒が壁に当たって大きな音を立てた時、恐怖で僕たちは一斉に逃げ出しました。玄関を飛び出して外に出ると、彼はもう追ってきませんでしたが、心臓がバクバクしていました。

帰り道、冷静になって考えると、僕たちは彼の「家」に無断で侵入したわけです。彼にとっては自分の生活空間を侵害されたわけで、怒るのも当然だったのかもしれません。それでも、あの荒れた部屋と男性の姿は、まるで映画のワンシーンのように鮮烈に頭に残っています。

あの経験は怖かったですが、それ以上に自分たちの軽率さを痛感しました。それ以来、危険な場所に足を踏み入れるのはやめようと心に決めました。

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