東京に住んでいると、いろんな人に出会う。だけど、あの日に出会ったあの男のことは、今でも忘れられない。
ある夜、仕事が遅くなって終電に乗り遅れた俺は、仕方なく深夜の街を歩いていた。人通りもまばらで、静まり返った東京の街は、普段の喧騒が嘘のように感じられた。
途中、俺は妙に体が大きくて、筋肉が盛り上がった男に気づいた。彼は街角に立っていて、異様なほどの筋肉を誇示するように、タンクトップ姿で腕を組んでいた。俺は少し気味が悪いなと思いながらも、そのまま通り過ぎようとした。
すると、その男が俺に話しかけてきた。「おい、お前も鍛えたいか?」と。声は低く、まるで腹の底から響いてくるようだった。
俺は驚いて、どう返事をすればいいかわからず、ただ「いや、特に…」と答えた。だが、男は笑いながら近づいてきて、「いやいや、そんなこと言うなよ」と言って、俺の肩に手を置いた。その手はまるで鉄のように固く、冷たかった。
「お前もこんな体になりたいだろう?」と、男はさらに力を込めてきた。俺は痛みを感じて、思わずその場から逃げ出そうとしたが、体が動かなかった。まるで男の筋肉が俺の体を縛り付けるかのように、全身が硬直してしまったんだ。
男はニヤリと笑い、「これでお前も俺たちの仲間だ」と囁いた。その瞬間、俺の体に異変が起きた。筋肉が異様な速さで膨れ上がり、皮膚が引き裂かれそうなほど張り詰めた。痛みと共に、体が変わっていくのを感じた。
「やめろ!」と叫ぼうとしたが、声にならなかった。男はそのまま俺を見つめ、満足げに頷いた。「これでいい。お前も俺たちの一員だ」と。
気がつくと、俺は道端に倒れていた。あの男の姿はなく、街には再び静寂が戻っていた。だが、体の異常な重さと痛みは消えなかった。服の下で、俺の筋肉が今も異様な膨張を続けているのを感じている。まるで、何かが俺の体の中で生きているかのようだ。
それ以来、俺は筋肉を見せびらかす男たちが怖くなった。彼らの中に、またあの男がいるかもしれない。そして、俺のように、誰かを次の「仲間」にしようとしているのかもしれない。
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