廃遊園地

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あの遊園地は、地元では少し有名な心霊スポットでした。営業を終了してから何年も放置されていて、草木が建物や遊具を飲み込むように生い茂り、昼間でも薄暗い場所でした。その夜、4人のグループで肝試しに行こうという話になり、私は少し気が乗らないまま参加することになったんです。

夜9時頃、誰もいない遊園地の入口に着きました。門には「立入禁止」の看板がかかっていましたが、それをくぐり抜けて中に入ると、空気が一気に冷たくなったのを感じました。観覧車やメリーゴーランドなどの遊具が朽ち果てたまま静まり返っていて、夜の闇の中に浮かび上がるその姿は、不気味という言葉以上のものでした。

奥に進むと、誰かが「写真を撮ろう」と言い出し、全員で古びたコーヒーカップの前で記念写真を撮ることになりました。フラッシュがたかれた瞬間、私は妙な違和感を覚えました。まるで背後に何かがいるような気配がしたんです。でも、振り返っても何もいませんでした。

その後、廃れたお化け屋敷の建物に入ることになり、私は内心嫌だったものの、みんなについて行きました。中は真っ暗で、懐中電灯の光だけが頼りでした。進むにつれて空気が重くなり、異様な静けさが耳に圧迫感を与えました。そして、建物の奥にある広間に差しかかったとき、誰かが「そこ、見て」と指さしました。

光を向けると、壁に人影のようなものが映っていました。でも、それは私たちの影ではなかったんです。誰もその方向に立っていないのに、影だけが壁に映っていました。その影が、少しずつこちらに向かって近づいてくるのを見た瞬間、全員がパニックになりました。「逃げよう!」という誰かの叫び声を合図に、一斉に出口へ向かって走り出しました。

建物を飛び出し、必死に遊園地の出口まで走りました。息を切らしながら外に出たとき、みんな無言のまま顔を見合わせました。途中で撮った写真も怖くて確認する気になれず、そのまま解散しました。

後日、写真を撮ったメンバーから連絡がありました。「あのとき撮った写真、背後に何か映ってた」と言うんです。送られてきた写真を見ると、私たちの背後に、薄暗い人影のようなものがはっきりと写っていました。顔は分からず、ただそこに立っているだけでしたが、それが人間ではないと直感的に感じました。

あの夜の出来事が本当に何だったのかは分かりません。ただ、廃遊園地には二度と近づかないと心に決めました。あの場所には、私たちが入り込むべきではない何かがいたのだと思います。

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