老婆

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あれが何だったのか、どうしてあんなことが起きたのか、いまだに謎のままです。

それは、夕方近くの静かな公園でのことでしたね。ベンチに座って、二人で何気ない話をしていたとき、遠くの方からゆっくりと歩いてくる人影に気づきました。それが老婆だったのですが、その時は特に気にも留めず、話を続けていました。

しかし、次第に彼女の様子がおかしいことに気づきました。老婆は道の真ん中をよろよろと歩いていましたが、その動きが異様にぎこちなく、まるで糸で操られている人形のようだったんです。そして、顔をこちらに向けた瞬間、私は背筋が凍る思いをしました。

その老婆の顔は異常に引きつり、目が大きく見開かれていました。表情というより、怒りや狂気が混じったような、言葉では表現しがたい顔つきだったんです。彼女が急にスピードを上げてこちらに向かってくるのを見て、私はすぐに友人に「逃げよう!」と声をかけましたが、老婆は私たちを追いかけてきました。

その動きは普通の人間のものではなく、異様に速く、しかも不規則でした。友人と二人で必死に走りましたが、公園の出口まであと少しというところで老婆が追いつき、突然私たちに飛びかかってきました。

私はとっさに手元にあったバッグを振り回し、友人も持っていた傘で応戦しました。老婆は低い唸り声のような音を立てながら爪を振りかざし、こちらに向かってきます。その力は信じられないほど強く、普通の高齢者とは思えないものでした。

なんとか二人で反撃を続けるうち、老婆は突然その場に崩れるように倒れ、地面に伏せたまま動かなくなりました。恐怖で声も出せず、その場を急いで離れましたが、振り返ったときには、老婆の姿はどこにもありませんでした。

後日、公園について調べてみても、それらしい事件や人物の情報は何一つ出てきませんでした。友人と「あれは一体何だったんだろう」と話し合いましたが、結論は出ませんでした。

あの日の出来事が夢や幻覚だったとは到底思えません。あの老婆が何者だったのかは分かりませんが、二人で協力して追い払ったことで命拾いをしたのは間違いありません。思い出すたびに、あの老婆の顔と異様な動きが頭をよぎり、今でも少し震えがきます。

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