はじめに
本稿では、筆者が経験した不可解な現象について、観察内容を整理し、記録として残すものである。この現象は、廃線跡での深夜調査中に発生したものであり、その性質上、心理的影響や未知の要因が関与している可能性がある。以下に現場の状況および発生した現象の詳細を記録する。
1. 背景および現場概要
現象が確認されたのは、地方都市にある廃線跡である。この鉄道路線は20年以上前に廃止され、現在は未整備の状態で放置されている。鉄道用の橋梁や信号機が部分的に残存しており、過去の利用状況を想起させる環境である。
調査の目的は、地域の歴史資料を集める過程で、廃線跡を訪れることであった。当該廃線には過去に事故や不審な出来事がいくつか報告されており、住民間で「夜間に異音が聞こえる」という噂が存在していた。
2. 調査当日の状況
調査は午後11時開始とし、筆者1名のみで行った。現場には懐中電灯および録音機を持参し、30分ごとに状況を記録した。
廃線跡に到着後、最初の10分間は特筆すべき異常は観察されなかった。風はほとんどなく、周囲は静寂に包まれていた。記録を続ける中、午前0時15分頃から以下のような現象が発生した。
3. 発生した現象
3.1 音の変化
午前0時15分、周囲の静寂を破るように「カン、カン」という金属音が断続的に聞こえ始めた。この音は、鉄橋上で何かが揺れる際に発生するものに似ていた。筆者が音源を確認するために歩を進めると、音は一時的に止まり、その後、再び異なる方向から聞こえた。
3.2 光の現象
鉄橋付近に到達した際、突然目の前に青白い光が浮かび上がった。光源の具体的な形状は不明瞭で、1秒程度で消失した。光の消失後、付近の空気が急激に冷たく感じられた。
3.3 視覚的異常
鉄橋の欄干付近に、何か人影のようなものが確認された。この影は明らかに人型をしていたが、顔や衣服の詳細は不明である。懐中電灯を向けた瞬間に影は消失した。
4. 分析と考察
本現象の原因については以下の可能性が考えられる。
- 自然現象による錯覚
音は風の影響によるもの、光は反射または動物の目の輝きなどが考えられる。ただし、筆者の周囲でこれらを引き起こす要因は確認できなかった。 - 心理的影響
孤独および深夜という状況が筆者の認識に影響を与え、幻覚や聴覚の過敏反応を引き起こした可能性。 - 未知の要因
現象が繰り返し報告されている点から、地域特有の自然的または人為的要因の存在も考えられる。
5. 結論
本稿で記録した現象については、再現性が確認されていないため、偶発的なものと考えられる。しかし、廃線跡における地域住民の噂や過去の記録と符合する点もあり、さらなる調査の余地がある。
本現象に関連する情報を収集することで、類似の事例に対する理解が深まる可能性がある。筆者としては、この場所に再び足を運ぶことはしないつもりであるが、記録が後続の調査者の参考となれば幸いである。
付記
調査後、筆者の自宅にて夜間に「カン、カン」という音が聞こえることが数度あったことを付記しておく。この音は廃線跡で聞いたものと酷似しているが、原因は不明である。
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