半分だけ

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ある地方に住んでいるMさんという知り合いの体験談です。Mさんの家は、山あいの静かな場所にあり、近くには田んぼや畑が広がる、のどかな風景が広がっています。

その日は、仕事で遅くなり、夜遅くに家に帰っていました。車で田舎道を走っていると、突然、道路脇に人影が見えたんです。Mさんはびっくりして、慌ててスピードを落としました。

道の端に、誰かが立っているように見えました。小さな人影です。何かを抱えるようにして、じっとこちらを見ているんです。

「こんな時間に、こんな場所で?」と不思議に思いながらも、Mさんは車を止めて、窓を少し開けました。

「どうしたんですか?大丈夫ですか?」と声をかけると、その人影がゆっくりと顔を上げました。

そこにいたのは、確かに小さな子供のような人影でした。年のころは10歳くらいでしょうか。彼はMさんの方をじっと見つめて、静かに「大丈夫です」と答えました。

でも、何かがおかしい。

よく見ると、その子の体が妙なんです。顔は普通に見えますが、体が……半分しかない。上半身はしっかりと見えているのに、下半身がまるで切り取られたかのように、ふっと消えているように見えたんです。

「……え?」

Mさんは目を疑いました。何かの錯覚かと思って、もう一度よく見ようとしましたが、その瞬間、その子供の姿がぼんやりと薄れ始め、気づいたら、もうそこには誰もいませんでした。

「体が半分しかない……」

Mさんはすぐに車を発進させ、全速力でその場を離れました。心臓がバクバクと鳴り、冷や汗が止まらない。そのまま家に帰りましたが、あの時の光景が頭から離れませんでした。

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