淡水の海水魚

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その日は地元の川に釣りに行ったんだ。山から流れてくる清流で、普段は鮎やニジマスなんかがよく釣れる場所だった。川の水は冷たくて、澄んでいて、魚影がちらちらと見えるくらい透き通っていた。俺たちは朝早くから出かけて、昼までのんびりと釣りを楽しんでたんだ。

それで、いつものように竿を垂らして待っていたら、突然ぐっと重い手応えがあった。「これは結構デカいぞ!」とテンションが上がって、慎重にリールを巻いて引き上げてみたんだけど、上がってきたのは見たことのない魚だった。

最初は「なんだこれ?」って思った。釣り上げた魚は銀色に光っていて、形が丸っこく、どう見ても川魚じゃなかったんだ。よく見ると、それは「海水魚」だったんだよ。

「なんでこんな魚が川にいるんだ?」って、俺も友達も驚いた。だって、ここは山の中の川だ。海からは遠く離れているし、川の水は真水だから、海水魚が生きていけるはずがない。だけど、手の中にあるその魚は、まさしく海で見るような魚だったんだ。

最初は「誰かが放したのか?」とか、「たまたま海から流れてきたのか?」なんて冗談めかして話してたんだけど、どうにもその魚の存在が頭に引っかかって仕方なかった。

それからしばらく釣りを続けてたんだけど、俺たちが戻る途中、川の浅瀬に不思議な光景を見たんだ。川の水の中に、また海水魚が泳いでいた。何匹かの海の魚たちが、ゆらゆらと川の流れに逆らいながら泳いでいる。まるで海から逃げてきたかのように、群れを成して川の中を漂っていたんだ。

「なんだよこれ、ありえないだろ?」と友達と顔を見合わせて、すぐにその場を離れたんだ。何かおかしい。

地元の人にその話をすると、少し眉をひそめながらこんなことを言われた。

「昔、川と海が繋がっていた時期があったんだって。その時に、海の魚が川に上ってきて、戻れなくなったっていう話がある。そんな魚が今でもどこかで生きてるって、信じる人もいるよ。」

そんな話、ただの伝説かと思ってたけど、あの時見た海水魚は本物だった。海からは遠く離れた川の中で、なぜか海水魚が泳いでいる。

あの時の不気味な光景を思い出すたびに、海と川が今でもどこかで繋がっているのかもしれないって考えるんだ。

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