その日は秋の終わりで、学校の友達と一緒に近くの田舎道を自転車で走っていた。田んぼの収穫が終わったばかりで、あちこちに大きな藁の山が積み上げられていたんだ。風が涼しくて、夕焼けが田んぼ全体をオレンジ色に染めていて、なんとなく穏やかな雰囲気が漂っていた。
俺たちはその道を何度も通っていて、特に変わったことなんてないと思ってたんだ。でも、その日、田んぼの真ん中あたりで急に自転車が進まなくなったんだ。
「おい、何だよ、道が通せんぼされてるぞ!」と、先頭を走っていた友達が叫んだ。俺も急いで追いついてみると、確かに道の真ん中に「何か」があった。藁の山みたいなものが、道を完全に塞いでいたんだ。
「藁が崩れて道に落ちてきたのかな?」と思ったんだけど、よく見ると、その藁の山はまるで人為的に積まれたかのように綺麗にまとまっていたんだ。それにしても、不自然な位置にあった。普通なら、道の脇に積まれるはずの藁が、なぜか道のど真ん中にあったんだ。
「これ、どけようぜ」と言って近づこうとした瞬間、突然藁の中から「ホゥ……ホゥ……」と低く響く声が聞こえてきたんだ。
俺たちはビクッと反応して、誰もがその場で固まった。声の正体を確かめるためにさらに近づこうとすると、今度は藁の山から大きな「フクロウ」が飛び出してきたんだ。フクロウは一瞬だけ俺たちの前を飛んで、すぐにどこかへ飛び去っていった。
「フクロウかよ……びっくりした……」って、俺たちはお互いに笑いあった。でも、問題はそこからだった。
フクロウが飛び去った後、また「ホゥ……ホゥ……」という音が、今度はもっと近くから聞こえてきたんだ。辺りを見回しても、もうフクロウの姿はどこにもない。にもかかわらず、藁の中からその低い声が繰り返し響いてくる。
恐る恐る藁の山をもう一度見たんだけど、今度は藁が少し動いているように見えた。まるで、何かがその中で蠢いているような感じだ。俺たちは恐怖を感じて、その場から急いで自転車に飛び乗り、全力で逃げ出した。
次の日、怖さ半分でその場所に戻ってみたんだけど、道の真ん中にあったはずの藁の山はすっかりなくなっていたんだ。誰かが片付けたのか、それとも……? その答えは分からなかった。
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