流れた流れたミカン

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これはね、俺が子供の頃に体験した不思議な話なんだけどさ、近所に小さな川があって、よく友達とそこで遊んでたんだ。そんな大きな川じゃなくて、家の裏手を流れるような、田舎によくある小川って感じ。でも、何度もその川に行ってるうちに、ちょっと変なことが起こるようになったんだ。

ある日のこと。秋も終わり頃で、少し肌寒くなってきたころだった。いつものように友達と川に行って、ふざけて石を投げたり、水切りをして遊んでた。そしたら、急に友達が「あれ、何だ?」って言い出したんだ。見ると、川の上流の方から何かがゆっくり流れてくるのが見えたんだよ。

近づいてみると、それは……ミカンだった。普通にスーパーとかで売ってるような、みかん。誰かが川に捨てたのかなと思ってたんだけど、その時は「まあ、そんなこともあるか」って特に気にしなかったんだ。

ところが、その次の日も、また同じ川に行って遊んでたら、またミカンが流れてきたんだ。「昨日もミカンが流れてきたよな?」って友達と顔を見合わせたんだけど、やっぱり今日も流れてる。

その時、ちょっと気味が悪くなってきて、「何かおかしくないか?」って感じ始めたんだ。だって、川の上流には畑もないし、誰がミカンを流してるんだよって話だろ?しかも、そこから毎日行くたびに、必ず1個のミカンが川を流れてくるんだ。最初は1個だけだったのに、次第に2個、3個と増えてきたんだよ。

そして、ある日、いつものように川に行ってみると、流れてきたミカンを見て、友達が突然「流れた!流れた!」って叫び出したんだ。何が流れたんだかよく分からなかったけど、その瞬間、俺も一緒になって「流れた!流れた!」って叫んでた。なんだかその場の空気が急におかしくなって、笑いながら叫んでるんだけど、心のどこかで不気味さが残ってた。

その日から不思議なことはピタッと止んだんだ。でも、あの「流れた!流れた!」って叫んでた瞬間、何かが終わったような気がした。

あれが何だったのかは今でも分からない。ただ、川で遊ぶたびに、ミカンのことを思い出すんだよな。

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